2022/03/25 16:03

2022年 2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めてから1ヶ月経ちましたが、今でも攻撃が続いていて、悲惨なニュースが目に入ってきます。たくさんの民間人が犠牲になった事や病院が占拠されたという情報もあり、戦争がどれだけの人の命を奪うのか実感が湧いてきてしまいます。正直に言うと世界情勢や自分の国の政治のこともよくわかっていない私。しかし世界中の多くの人が平和でありたいと願っているはずなのに、なぜこんな事が起きて、繰り返してしまうのか、悲しく虚しい気持ちになります。

そんな中で、SNSなどで目につくようになった平和を訴えるアート作品たち。人はなぜ平和をアートで表現するのか考えてみたいと思います。

「ゲルニカ」
反戦を描いた作品として最も有名なものと言えば、パブロ・ピカソの「ゲルニカ」です。

母国スペインがドイツ空軍による無差別な爆撃を受けたことで描かれた作品で、ゲルニカ爆撃を新聞記事で知ったピカソは、別の構想で描く予定だったパリ万博用の壁画を変更し、この事を主題に選びます。この頃あまり絵を描かなくなっていたピカソでしたが、「ゲルニカ」にはとても熱心に制作進めたそうです。万博での評価は賛否両論でしたが、戦争が終わりたくさんの国で展示されたゲルニカは多くの人の心に衝撃を与え反戦のメッセージとしてこれだけ有名になっていったのでした。
もっと写実的でわかりやすく美しいものを求められた当時でしたが、時間をかけてもこれだけの評価をされたのはピカソの想いの強さが作品から伝わり共感を得たからだと思います。「ゲルニカ」には怒りが込められているように感じます。見た人に戦争とは、残酷で悲しく、恐ろしい情景を感じさせるからこそ、素晴らしい作品なのだと思います。

「アートで世界を平和にできるか?」
戦争が始まって、たくさんの人が反戦、平和を訴える表現をしたと思います。友人同士で話をしたり、親が子供と一緒に考えたりすることも表現の一つです。別の国のことであっても平和を願う気持ちがあれば何かのアクションがあったはずです。
ではアート作品として表現することは平和に繋がるのでしょうか?
言葉ではなく、絵や音楽になった気持ちというのは抽象的で伝わりづらいものが多いでしょう。しかし目の前の作品に対して感じたこと、作者の意図を考えること、それこそがアートだと私は思っています。少しでも平和について、戦争について考えさせられた。そんな人が100人、1000人、何億人と増えていくことが平和に繋がり、他の国の人の平和を想像する力になると思います。


今の時代、インターネットやSNSで自身の事を気軽に発信し、多くの人に見てもらえる方法がたくさん増えました。その中で情報や知識も重要ですが、それだけでなく感情や思想を表現できることも良い一面です。「ゲルニカ」のような作品が生まれたのが今の時代であったら、もっと早く多くの人の心を動かしていたかもしれません。
アートは答えの無いもの。良い悪いではなく「問題を投げかける」ものだと思います。気軽に作品を目にする事ができる現代、今回のように世界中で広がっている平和を願うアート作品を見て、戦争と平和について自分の考えを探してしてみるのも良いと思います。