2022/04/25 12:35

こんにちは

今回は、現在大きな注目を集めているデジタルアートについて書いていこうと思います。
デジタルアートとは、イラストレーションやコンピュータグラフィックスの他に、デジタル絵画やプロジェクションマッピングなど、コンピュータ上で作られた作品で、アートの一つのジャンルとして今では当たり前となっています。
私自身はまだ馴染みが無い制作方法ですが、SNSやネット上の画像ではたくさんの作品を目にし、クオリティの高さに見惚れてしまうものも多いです。ではなぜこんなにデジタルアートは注目されたのでしょうか?

「デジタルアートの魅力」
4月に個展をしていただいた作家のfujihaさんは、デジタルでイラストの作品も制作し、SNSに投稿しています。デジタルで描くことの魅力は何なのかお聞きしました。
fujiha:「何度も描きなおせてとても便利です。描写する箇所をセル画のようにレイヤーに分けて描き、レイヤーごとに配色を一気に変えられるので、自分では思いつかなかった色合いにすることもできて楽しいです。
また、SNSに作品を投稿してすぐに沢山の人にリアクションをもらえる事が一番楽しいかもしれません。海外の人にも見てもらっています。
SNSでデジタル絵を発表している方々は「皆で技術を共有して上手くなっていこう」という気持ちがあり、独学でも互いに上達が早くなります。キャンバスや紙に描いた作品は原画を見てもらうことが一番なので、展示会場に実際に足を運んでもらうため発表までの道のりが長いですが、デジタルなら制作から発表のサイクルが早くて私には合っているようです。」

デジタルアートを作成するには基本的にパソコンやタブレットを使いますが、ソフトは主にIllustratorやPhotoshopで作成ができます。タブレットやスマホなら、「アイビスペイント」や「CLIP STUDIO PAINT」などのアプリを使って簡単に始める事ができるので、普段手で紙に描いている方でも同じような感覚で作成することができます。
デジタルだと絵の具やペンで描くよりもスピードが早く、多くの表現ができ、更にはアニメーションや音楽まで、ツールを使いこなせば無限の可能性があるようです。
また、子育て中のfujihaさんにとって、場所を選ばず合間の短い時間で気軽に作業できることも魅力だそうです。油絵などをやったことがある人にはわかると思いますが、絵の具の匂いや作業の音を気にせず、どこでも持ち運べて、出来上がったらその瞬間に発表できることは大きな利点だと思います。


「NFTアートとは?」
デジタルアート作品は「データ」です。インターネット上に放たれたデータは誰でもコピーできてしまい、価値が付けづらいものでした。そこで誕生したのが、デジタル作品を本物であるかどうか、所有者が誰かを証明できるようになった「NFTアート」です。
これによりデジタルアート作品に価値が生まれ、絵画や彫刻と同じように改ざんできない唯一無二の作品を作る事ができるのです。NFT取引所のアカウントを作成し、デジタル作品を出品すれば、誰でも作品を販売することができます。
これから先の未来、もっとデジタルな社会の仕組みになっていくとしたら、アートの未来もこのように売り買いされる事が主流になっていくかもしれません。

「デジタルにはできないこと」
制作側としては手軽に制作できて、表現方法は無限大のデジタルアートですが、購入する側としてはまだまだ現実の生活の中に入り込んでいないような気がします。
それは物質感が無いからではないでしょうか?
NFTで作品を所有したとしても、デジタル環境の中で資産になっただけという感覚です。油絵の匂いや画面からわかる筆の動きの跡、彫刻の存在感、額縁の重さ。それが生活の中で目に入り、光の当たり方やその日の気分で見え方が変わるような、そんな生々しさはデジタルにはまだ表現できないところではないでしょうか。fujihaさんも、アナログの作品を制作する時は、「キレイな花があったから」「絵の具で自由に遊びたい時」などシンプルな衝動を大切にしているようです。

デジタルツールはどんどん進化していき、多くの事が可能になっていきますが、逆に私たちの生活からは物質の大切さを改めて感じるのではないかと思います。