2022/09/01 17:22

こんにちは muni gallery です。

みなさんは彫刻というとどのようなものをイメージされるでしょうか?
よく目にするのは道路脇や建物のエントランスに飾られているブロンズ像や、お寺などの仏像、有名なミケランジェロの作品「ダビデ像」なども彫刻作品です。
彫刻に使われている素材は、木、石、FRP(繊維強化プラスチック)など様々な種類があります。その中で今回は土を焼いて作る陶の彫刻について書きたいと思います。

「陶彫とは?」
土や粘土を使った彫刻には「塑像」や「テラコッタ」などがあります。
「塑像」は粘土や石膏を使いますが、焼かずに青銅像などの原型として作られるものです。「テラコッタ」とは粘土が素焼きの状態の焼き物を指す言葉で、粘土で形成したものを素焼きした作品は「テラコッタ」と呼びます。

「だから今日も」広瀬里美 (テラコッタ)

この二つとは少し違ったものとなるのが「陶彫」で、粘土で人物や動物など形を作って焼き、釉薬をかけて本焼きするという器作りと同じように陶の技術を使った彫刻のことを指します。釉薬とは、灰や土石類を水で熔かした「うわぐすり」とも呼ばれるもので、高温で焼くとガラス質になります。透明になるものや、銅を加えることで緑色が出るもの、茶褐色になるものなど、材料によって何通りにも表情を作ることができます。釉薬をかけることで割れにくくなったり、器としては表面に汚れが付きにくくなるなどの利点もあります。
陶彫刻作品でも焼いた後の色の変化で、土で作られた形の表面表現を豊かにすることができます。

「陶彫の魅力」
陶彫の魅力を考える前に、彫刻作品の見方をおさらいすると、ほとんどの彫刻は作品と周りの空間との関係性、動き、量感が意識されて作られ、その美しさが評価されます。しかし陶彫は焼くと粘土で作り上げた形から水分が抜けて焼きしまり、少し小さくなります。そして釉薬は表面的な表現を意識させ、本来の形の空間性や動きの美しさが疎かになりがちです。陶の素材である土や釉薬の特性、焼き方の技術の知識がないと、100パーセントの表現をすることが難しいものでもあります。
しかし土で作ることで表現される、柔らかく自由な形や細かい部分は陶彫ならではです。その温かみは見る人に親近感を感じさせます。特に生き物をモチーフにした作品はしなやかな動きを表現することができ、逆に焼き方を工夫して無機質なものを表現することもできます。
また作る側は、土と向き合い何度もやり直しながら自らの手で形を生み出していく工程にも魅力があるのかもしれません。

「乙姫」岡田 杏 (陶彫)
 
陶彫の作品は、身近にありながら中々深く探求されないものが多いように感じます。もし陶芸を体験する機会があれば、食器を作るだけでなく彫刻作品にもチャレンジしてみるのも面白いと思います。デスクに自分オリジナルの小さな作品を飾るのもおすすめです。
9月の展示は岡田 杏さんの個展 陶彫の作品が並びます。ぜひご覧ください。
オンラインショップでも一部販売予定です。

埼玉県蓮田市閏戸1808

営業日:土曜、日曜

13時〜18時(ラストオーダー17時半)

お問い合わせ municafe.as@gmail.com

オンラインショップ

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