2022/09/15 17:17

こんにちは

muni galleryです。
現在、muniでは彫刻作家、岡田杏さんの個展が開催中です。
大学を卒業して、作家として作品を作り始めて間もない作家さんです。
今回は岡田さんの作品作りについて伺ったことを書きたいと思います。

「彫刻を選んだ理由は?」
美術系大学に進学する時、専攻に彫刻を選ぶ方は他の科に比べるとあまり多くはありません。卒業してからの就職先や作家としての活動につながるイメージがあまり持てないのと、彫刻自体をやった経験が無い方が多いからだと思います。(現在は就職のサポートもあるようです)
岡田さんは高校での授業で首像を作ったときに楽しく感じたのと、出来上がりを褒められたことで彫刻に興味を持ち、高校や予備校で学んでいく中で、平面よりも立体の面白さを感じたり、彫刻の”あっけらかん”とした雰囲気が好きで彫刻を専攻することを決めたそうです。

「制作で使っている素材について」
岡田さんの作品は主に粘土を焼いて作る陶彫の作品です。
粘土は信楽土がほとんどで、さら土や益子土などを、ヒビは入りにくいか、質感はどう変化するか色々試している最中。以前はきめ細やかな白い半磁器土や京土を使って、赤土のこなで着色することもありましたが、等身大の作品を作ることがあるので、今は大きな作品で耐えられる材質を用いているそうです。

「elfin」

釉薬は白ベースに淡く薄紅に染める色味を基調にしているので、石灰乳白、うのふ、透明釉を使用。色味や質感が表現に合うかどうかを気にして選んでいるそうです。
陶の材料や釉薬は組み合わせ次第で無限に作ることができるため、素材はまだ研究中とのことでした。

「作品のテーマは?」
岡田さんが作品を制作する時、「生命力と素材から感じる五感」を意識しているそうです。そして、自然素材が自身の心に馴染む感覚があり、珊瑚や木など自然界の要素を取り入れたりもしています。
形を作り上げていく過程では、形の張りや動き、量感やバランスがあってくると心地よく、作り込むことで形の密度が上がっていくと達成感を感じ、一方で粘土をひねったり抑えることではみ出てくる不規則な形にも温かみのある魅力を感じるとのことです。
自然発生するイメージや、日本的な幽玄美、奥深さ、又は妖精などをテーマに制作された作品は、岡田さんの手の中で命を宿し自由に形を変えて生まれ、空間に優しく馴染む輪郭の造形だと思います。これから様々な経験をしてどんな変化をしていくのかも楽しみです。

「個展『路すがら』より 一押し作品」
最後に、開催中の個展から一押しの作品を岡田さん自身に2作品選んでいただきました。作品の説明と共にご紹介します。

「景色」
『「景色」はフィレンツエのロッビア工房のレリーフから陶器のイメージを少し借りてますが、顔の作りが気にいっています。
体の抽象的なフォルムと、作り込んだ頭部。また、胸の空洞にストーリーのビジョンが存在しています。自然素材を組み合わせて
作りました。』

「追想」
『「追想」は新制作展に出品した作品ですが、コロナ禍のせいで始めてからは二年くらいは完成しなかった作品です。
時間をかけて作られていて、一度作ったものを何回も崩して作りなおしました。
抱えているのは、今まで作った彫刻のイメージや介護していた猫ちゃんです。
ヌイグルミを抱きかかえる妖精(精霊?)風の女の子にしました。余命宣告されてから一年くらい生き延びた頑張り屋でしたが、
今年の1月に虹の橋を渡ったのが、寂しいですね。』

岡田 杏(おかだ きょう)
1990 埼玉県生まれ
2018   金沢美術工芸大学大学院修士課程彫刻科修了
   東京藝術大学大学院美術研究科研究生入学
   新制作展 埼玉県美術展覧会
2019 「猫展」 東京藝術大学アートプラザ 
2022 「金沢美術工芸大学彫刻専攻で学んだ作家たち展」   ギャラリーSOL
   「フローラル展」  ギャラリーユニコーン
   「Microcosm morphology」〜彫刻家の自画像と彫刻作品〜 展 Cafe muni 等


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