2022/10/06 10:30

こんにちは muni galleryです。今月10月の展示は佐々木環美さんの個展を開催中です。


絵画の他にドローイングの作品がたくさん展示されています。ドローイングは絵画の色を重ねる美しさや、時に精密な表現をする技術とは違う、「線」の魅力があります。今回はドローイングとは何か?ドローイングの魅力について書きたいと思います。

「ドローイングとは?ドローイングとデッサンの違い」
ドローイングとは日本語の「素描」のことで、美術用語で「線画」のことを指します。鉛筆やペンで線を引くことをメインに描かれた絵のことです。自由な動きや製作者の内面が表現され、即興と言えるくらい短時間で完成させることが多いです。
一方、同じ素描の中の「デッサン」は、目の前のモチーフを正確に再現することを言います。



時間をかけて観察し、立体感や明暗、質感を鉛筆や木炭などで写しとり、現実を捉える力が必要となります。
同じモチーフを見て描いたとしても描く側の個性や意識が表現されたり、短時間で形を捉えたものはドローイングと言われます。

「魅力的なドローイングの世界」
こちらの写真は有名なパブロ・ピカソのドローイングです。
そしてこちらの同じくピカソの絵画と比べてみると
「夢」1932年
ドローイングの方は一見落書きのようにシンプルに描かれていますが、線の滑らかな動きにピカソの個性が出ているのがわかります。
ドローイングはシンプルだからこそ、作家の内面の誤魔化しが無いストレートな表現を見ることができます。
そして作家にとってドローイングとは、作品を制作するまでのメモや地図、原点であり、それ自体も作品になり得ます。
作品を作る最初の、まだ形にならない曖昧なものを自分自身探っていく時の原点がそこにあり、見る側はそれを体感できることが魅力の一つだと思います。

今回の個展では佐々木環美さんの人物ドローイング作品が展示されています。
人物の躍動感やモデルの特徴を捉えながらも、感じたままに引いた自由な線と着彩が佐々木さんの目を通して生まれた佐々木さんにしか描けない作品です。次回は個展「reflect」からおすすめ作品を紹介します。