2023/04/07 08:51
こんにちは muni galleryです。
4月は木下拓也さん個展が開催中です。
木下さんは、和紙に油絵具で描く珍しい作品なのですが、重ねた絵具の色が透けて見えたり、軽やかな印象になっていたり、和紙の美しさが生かされていると感じます。
今回はそんな和紙について書きたいと思います。
和紙の作り方
まず始めに、主な和紙の原料「楮(こうぞ)」を使った和紙の製造工程をご紹介します。
こちらが楮という植物です。
この楮を蒸して皮を幹からはぎ取り、その皮(黒皮)を天日干しでしっかり乾燥させます。
必要な分の黒皮だけを水に1日さらし、外皮をとって内皮(白皮)だけにします。この状態で乾燥して保存することもできます。
白皮を灰で煮て繊維をやわらかくし、流水にさらして灰を流し、天日で白くします。
キズや汚れを手作業で取り除いたあと、木の角棒でワタのようになるまで叩きほぐします。
ほぐされた繊維をトロアオイなどの植物からとれる透明な液体と水と混ぜ、「すけた」という道具で手前からくみこみ、動かしながら紙をすいていきます。
紙床に移し、重ねて水を切り、ジャッキなどで圧力をかけてさらに水をしぼってプレスしたままにします。
紙床から一枚ずつ剥がして板に貼り付け天日で乾燥し、板から剥がして完成です。
和紙の種類
和紙といっても様々な種類があり、見た目も使い方も違います。
・楮紙(こうぞし) 楮という植物の樹皮て作られた丈夫な和紙。書道用の半紙や木版画用紙、照明器具などにも使われます。
・揉紙(もみがみ) 手で揉んでしわをつけ、布地のように柔らかく加工された和紙。襖や掛軸、人形などの紙細工にも使われています。
・ 典具帖紙(てんぐしょうじ) 和紙の種類の中で一番薄く、薄さのわりに丈夫です。包装や美術品の修復に使われています。
・友禅紙(ゆうぜんし) 着物の友禅模様を和紙に染めて作られています。折り紙や、柄を生かした様々な小物に使われます。
・板締紙(いたじめし) 2枚の板に折りたたんだ和紙を挟んで染色します。板の形、紙の折り方で模様が変わります。
・雲竜紙(うんりゅうし) 紙の中に楮の長い繊維を入れて模様をだした和紙。主に障子や工芸品の材料で使われています。
日本三大和紙とそれぞれの魅力
和紙の産地はいろいろありますが、中でも三大和紙と呼ばれているのが
福井県「越前和紙」
岐阜県「美濃和紙」
高知県「土佐和紙」
です。同じ和紙でもそれぞれ特徴と魅力が違います。
・越前和紙は福井県越前市の岡本川流域で作られています。楮、三椏、雁皮が原料で様々な種類があり、生成色の美しさと丈夫さが特徴です。特に雁皮が卵の殻に似たクリーム色なため、「鳥の子紙」と名付けられました。
・美濃和紙は岐阜県美濃市、長良川と板取川の流域で作られています。1300年以上も前から作られていて、日本最古の和紙でもあります。薄くて柔らかく繊細で、耐久性もあり、美濃手漉き和紙はユネスコ無形文化遺産に登録されています。この地域は灯篭や和傘の一大産地でもあります。
・土佐和紙は高知県土佐市の主に仁淀川流域で作られています。土佐特有の楮は繊維が太く長く、丈夫な紙ができやすい特徴があります。中でもいの町でのみ製造される「土佐典具帖紙」は厚さが0.03〜0.05mmと手漉き和紙の中でもっとも薄く、丈夫さも兼ね備えています。
今では身近で使うことが少なくなっている和紙。和紙の魅力は見た目の美しさだけでなく、丈夫さにも価値があります。
和紙の原料である楮は繊維が長いので、薄くしても紙の寿命が長いのです。
原材料の不足や、製造工程に手間がかかり、高価な紙ですか、日本の文化を守ることも含めて、和紙の魅力をもっと活用していけると良いと思いました。
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