2023/02/10 11:25

こんにちは muni galleryです。
今回は2月の企画展「14人の鉛筆画」展から、テイストの違う4作品をご紹介したいと思います。
前回のブログで鉛筆の使い方や種類のことを書きました。
前回のブログ↓
今回は作家さんのコメントも添えながら、実際にどの様な違いがあるか見ていこうと思います。


「らくガキ」
広瀬里美
1998年 埼玉県行田市生まれ
2017年 埼玉県立伊奈学園総合高等学校卒業
2018年 東京藝術大学美術学部彫刻科入学
2022年 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
     東京藝術大学美術研究科彫刻専攻入学

使用した鉛筆はステッドラーとハイユニが主です。6Hから7Bくらいまで使ってますが、H系はステッドラー、B系はハイユニを使うことが多いです。
このような自由というかやんちゃな絵を描くことはあまりないのですが、感情に任せて描いた落書きが気に食わなくて破いたところから生まれ、殆どの部分を感覚と手の赴くままに描いています。
仮面の下から見える目はこだわって描きました。
人間の(私の)ちぐはぐさが投影されているようで個人的には割と気に入っています。

こちらの作品は、平面的に、本当に落書きのように描いてある線の部分と、上から描かれた仮面のリアルさや丁寧な鉛筆の運びから、鉛筆の使い方の違いがよくわかります。「ちぐはぐさ」が鉛筆だけで上手く伝わります。


「FLAME」
前田 かおり 
1976年長崎県生まれ   
長崎日大高校デザイン美術科・九州造形短期大学視覚デザイン学科卒業 福岡→東京→現在長崎在住 

•画材
鉛筆 4H〜10B
ハイユニ(B系)
ステッドラー(H系)
この作品は、主人公「ワタシ」が感じる混乱の中の「冷たい炎」を描いています。
「ワタシ」のなかにある混乱を冷静に見ている感覚に何か既視感のようなものを感じていただけたら幸いです。
炎を表現するために最後に絵を焼きました。
アンティークの額を黒塗りし、額の裏蓋に直接絵を接着しています。額も含めての静かな世界をご堪能下さい。

こちらは黒が深い作品です。塗られた額の黒に続くように、顔の周りを覆う炎の黒はしっかりと塗られ、まとわり付くような鉛筆の色が出ています。そこからのグラデーションも美しいです。


「秘密の詩」
小島睦生(影山キヲ)


1981年 埼玉県出身

東京藝術大卒業

東京藝術大学大学院美術研究科修了


鉛筆はHi-uni(ハイユニ)を愛用しています。滑からで、しっとりとした感じを気に入っています。今回の作品では、2B.F.3Hを使っています。
作品を制作する上で、「線」を大切にしています。
出来るだけ無駄な要素を省き、純度の高い精神性と物語性を、表現できたらいいと思っています。

こちらの作品は打って変わって、白い画面です。柔らかで滑らかな鉛筆を生かした線だけの世界で表現されています。繋ぎ目の無いゆっくりとのびる線は絵の具より鉛筆が向いていますね。


「stairs」
大久保 美里 Okubo Misato

1983年 栃木出身
2009年  多摩美術大学 卒業
2011年 多摩美術大学大学院 修了

色彩を使った版画作品を作っています。
今回は鉛筆でその版画作品をモノクロームの世界に落とし込みました。
静かな夜や明け方、雨上がりの風景の中で、美しい、儚い、風に揺られながら消えて無くなってしまう様々な形のカケラを拾い集め、再構成しながら、そこに在る瞬間を描いています。
鉛筆は2H程度の硬いものから中間のHB、B〜6Bまで使っています。
紙の凹凸に対してのザラっとした質感を大事に制作しました。やわらかい4B程度の鉛筆を塗り重ねながら、グレートーンを作っています。
硬い鉛筆は紙を引っ掻きシャープな線が欲しいところにのみ最小限使っています。
鉛筆のあたたかい質感から、どこか色を感じられ、観る方の心に小さな灯りがつくような‥ そんな時間になりましたら幸いです。

こちらは版画の作家さんらしい、平面的だけど奥行きのある作品です。鉛筆画だけなのにたくさんの色の違いを表現していて、カラフルに見える気がしてきます。


鉛筆だけを使った4作品、それぞれ描きたいことや雰囲気によって、鉛筆の濃さや使い方を選ぶと、何通りもの表現ができます。鉛筆画の奥深さがとてもよくわかりました。

「14人の鉛筆画」展は2月26日(日)まで。

muni

埼玉県蓮田市閏戸1808

営業日:土曜、日曜

13時〜17 (ラストオーダー16時半)

お問い合わせ  municafe.as@gmail.com

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